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ディカプリオ『レヴェナント』ネタバレ感想と評価/ダークソウルだ!

レオナルド・ディカプリオがとうとうオスカーを射止めた『レヴェナント: 蘇えりし者』を観てきました。

 

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総合評価:★★★★☆
ダークソウル度:★★★★☆
こんな死に方はいやだ度:★★★★★
ディカプリオ切れ度:★★★★★


あらすじ:アメリカの西部開拓時代に実在した罠猟師ヒュー・グラスの半生と、過酷なサバイバルを描いた映画。熊に襲われて重傷を負い、仲間に見捨てられたグラスは復讐を誓うが、彼を極寒の大地が襲う。

 

監督: アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
脚本: マーク・L・スミス、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演:レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ、ドーナル・グリーソン、ウィル・ポールター
音楽: 坂本龍一、アルヴァ・ノト

 

キレキレなディカプリオ

ここ最近、『ジャンゴ』『シャッターアイランド』『ウルフ・オブ・ウォールストリート』など、ディカプリオって「うー!うー!」ってうなりながらぶち切れる役が多かったと思うんだけど、ひときわ切れていらっしゃいました。ついにアカデミー賞を穫ったのもあの激しさがあってこそ。でもちょっと過剰な気もします。もちろんそこは監督の判断なのだけど。

 

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監督といえば、イニャリトゥということもあって、ある種の霊性を強く持った文学的作品にも見えるのだけど、これは素直にエンタメとして楽しんだ方がいいのでは?と途中から思いました。もともとイニャリトゥはすごく好きな監督なのですが。

 

『レヴェナント』撮影トリビア・エピソード

 

自然光へのこだわり

 

・撮影はすべて自然光のもと行われたーーあるシーンを除いて。それは夜間のたき火のシーン。風に火があおられて撮影に支障が出たため、電球をたき火の周囲に配置して、その明かりを利用したそうです。「人工の光を使ったのはそのときだけだね」とのこと。

 

ディカプリオが撮影に臨んでやったこと

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・ベジタリアンだが、撮影のため、バイソンの生レバーを食べた
・マスケット銃の撃ち方を習得
・火の起こし方を習得
・ふたつのネイティブアメリカンの言語を習得
・当時の治療法を専門家について勉強
・「キャリアでもっとも大変な役だった」とはディカプリオの談
・しかし「この撮影で怪我を負うことはなかった」とクルーの仕事を褒めています

 

馬の死体は本物?

ディカプリオが馬の死体に潜り込んで暖をとるシーン、作り物です。

 

バイソンの肝とディカプリオ

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インタビューでこう答えています。「アーサー・レッドクラウド(ディカプリオを助けたネイティブアメリカン役)がセットで一日中バイソン肉を生で食べてたんだよ」。撮影では、赤いパンケーキ状のものを食べることになっていたが、それがあまりに偽物くさかったために、本物を食べることに決めたんだとか。「でも二度と、二度とやらないね」だそうでw

 

なお、レッドクラウドはこれがはじめての映画出演で、もともとはテキサスで石油トラックを運転していたそうです。

 

この記事を書くために調べたら、本来は生のレバーを食べる予定ではなかったとわかってちょっと安心しました。というのは、「演技なんだから、べつにそんなことする必要ないじゃん!」と思っていたので。現場の判断で、ということならありかなと。馬の体内に入るのも、実物を使う意味はないし、リアリティの追求とは言っても、そういう点で評価するのは話が違うのではないかな、と思います。

イニャリトゥが実写にこだわった理由


「グリーンスクリーンを使って、コーヒーでも飲みながら撮影したらみんな楽しかっただろうけど、映画はゴミみたいな出来になっただろう」

 

トム・ハーディとイニャリトゥの確執

 

イニャリトゥは撮影クルーに厳格な姿勢であたっため、ハーディは徐々に不満をつのらせ、ついには監督の首をしめる事態となりました。短気なイニャリトゥの性格と、厳しい撮影条件が重なり、脱落したクルーや、首にされたスタッフがいたそうです。イニャリトゥは「音の狂ったバイオリニストを外すのも、オーケストラを指揮するものの仕事だ」と述べています。


最終的には、その首絞めシーンをTシャツにプリントして、クルーみんなに配ったとか(笑)。仲直りしたんですかね?

 

▼その写真がこちら! 欲しい! 嘘、欲しくない。

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▼左はイニャリトゥ。首を絞められているのはハーディの方

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吊るされた死体に掲げられた警句


「On est tous des sauvages」という文言は、「俺たちはみな野蛮だ」という意味。原作者スティーヴン・ブラムウェルによると、1680年代にイリノイの開拓地で、カナダ人の毛皮商人が木に刻み付けた一文らしい。

 

<<警告>> 以下、重要なネタバレを含みます 

実在したモデル:罠猟師ヒュー・グラスの壮絶な生き方


この物語のモデルとなった罠猟師のグラスは実在します。熊に襲われたあと、2人の仲間に見捨てられました。しかし、彼は仲間を許しているし、子供を殺されることもありませんでした。そもそも子供がいなかったという説もあります。

 

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実在のグラスは1823年8月にグリズリーに襲われています。

 

熊による襲撃を受けたあと、立ち上がることができず、6週間にわたり、300キロ以上を這いつくばったまま移動したそうです。砦に着いてから怪我が治るのを待って、自分を見捨てた罠猟師を追いかけています。

 

這って移動していた間、腐った倒木を見つけると、熊にやられた傷を押し付けたそうです。木に巣食ったウジ虫に、壊疽した自分の身体を食べさせるために(……壮絶すぎますね)。

 

ところで、個人的に、陸生動物では熊にだけは食べられたくないです。内蔵からムシャムシャいくので。ライオンとかなら息の根をとめてから食べてくれるのでまだましかなと。水生ならワニとサメが嫌ですね。噛みついたままグルングルンするのであの子達……。

 

自分を見捨てた2人を追いつめたグラスは、彼らを殺しませんでした。その理由。一人目、ブリッジャーは若すぎたので許しました。映画の通り、フィッツジェラルドにそそのかされたことも理解していたようです。

 

二人目、フィッツジェラルドを殺さなかった理由については、任務中の兵士を殺すと自分が絞首刑になったから、という説があります。フィッツジェラルドは公式にはまだ任務中だったんですね。

 

実在のグラスはそれからさらに10年間生き、イエローストーン川でアリカラ族の襲撃を受けて死にました。なお、ヒュー・グラスを主人公にすえた映画には、1971年の『荒野に生きる』があります。

 

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ダークソウル? ダークソウル!

ところで……幻想的かつ荒涼とした原野をひとり進む亡霊のような男……という設定に、思わず「ダークソウルじゃん!」と映画館で叫んでしまいました。ちょうど先月リリースされた「ダークソウル3」をプレイしているので。でも本当にイメージがよく似ているのです。

 

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▲レヴェナント

 

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▲ダークソウル

 

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▲レヴェナント

 

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▲ダークソウル

 

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▲レヴェナント

 

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▲ダークソウル

 

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▲レヴェナント

 

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▲ダークソウル


どうですか? ダークソウルそのままですよ!(言い過ぎ)。まあ、これは完全に冗談なんですけどw、どちらも生死をかけた、そして死から蘇った亡者(レヴェナント)の物語という共通点もあったりするんですよね。両方経験した人がいたら感想を聞かせてもらいたいな、と思いました。 

 

  

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The Revenant: A Novel of Revenge

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